NANA 第34話 「割れたいちごのグラス」

  • 2019-10-05
  • 2019-10-07
  • NANA
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あらすじ

タバコ

「16の夏、タバコをセブンスターに変えた。レンが吸っていたからだった。同じ数だけピアスを増やし、お揃いのブーツで歩いて、同じベッドで眠り、同じ夢を見ていた。なのに、レンは私を置き去りにした。私は心のどこかで、それを許せていなかったのかもしれない。母を許せなかったのと同じように」というナナのモノローグでスタートです。

河原でタバコを吸っているナナは禁煙が続かない自分の意志薄弱っぷりを自嘲しながら物思いにふけります。ノブに色々言ってしまったことや、これからの自分がどう生きていくかなど考えます。眠気を感じながらタクミは帰っただろうと思いアパートに戻るとまだタクミは部屋にいます。

結婚宣言

タクミと奈々の様子を見たナナは無視しますが、タクミは大事な話があるとナナに言います。ハチがどんな人生を選ぼうと優しく見守るという決意をもう一度思い出し、ナナはハチの元へ行きます。ナナが席に着くとタクミは「結婚することにした」と切り出します。驚くナナをよそに、タクミは身重の奈々を引っ越しさせることを告げます。

あまりの話の進みようにナナはあっけに取られます。自分は子供ができたことすら聞かされてなかったのに、いきなり結婚すると言われたことや、奈々が黙って何も言わないことにナナは釈然としません。「こちらの都合で申し訳ないから、新しいルームメイトが見つかるまで家賃を半分払う」というタクミの申し出に強がるナナは「これからレンのところに引っ越す予定だった、もうすぐここは引き払うのだ」と強がります。

タクミの信条

するとタクミはレンについて話が出たついでに、「暗い過去のあるレンとナナの恋愛ネタは芸能界でどんな風に書き立てられるかわからない。もう少しレンの立場を考えろ」とナナに告げます。ナナはスキャンダルでダメになるならトラネスもその程度だということだと返します。

しかし、それに対するタクミの意見は意外なもので、バンドがこれだけ売れると世間のバンドへの関心は音楽以外の事に向いてしまうのだ、音楽以外のことで話題になって正当な評価をされなくなるのは不本意だと語ります。音楽やってるならナナも気持ちがわかるはずだ、デビュー前ならなおさらだろうとタクミは言い、慎重に行動しろと注意します。

タクミの怒り

話は済んだといってその場を後にするタクミに、ただただ忠犬のようについていく奈々を見てナナは怒りを感じます。奈々の部屋に戻った二人は、家探しや挨拶といった今後のことについて話します。一応話し合いが終わると奈々の体調も良くなったのか表情が明るくなります。

しかし、タクミは奈々をベッドに押し倒し始めます。お腹の子に悪い、ナナに気づかれてこれ以上ナナを怒らせたくないと奈々は必死に嫌がりますが、タクミは「俺の怒りを沈めてくれ」とものすごい剣幕で迫ります。他の男にやられっぱなしじゃ収まらないとタクミは言います。

割れたグラス

「水越の店で買ったベッドは、古くて、スプリングが軋む。頭が変になりそうだ。嘘つき。裏切り者。」と怒る奈々が悔しさのあまり机を叩くと、二人で同居したての時に買った大切ないちごのグラスが机から転げ落ちます。走馬灯のように奈々がグラスを大切にしていた思いでが駆け巡る中、虚しくグラスは割れてしまいます。

「お揃いが割れたら悲しい」という奈々のいつかの言葉が脳内に響く中、ナナは割れていない方のグラスを見つけます。そして、おぼろげな様子でそれを手に取ると、割れたグラスの上に落とします。「良かった。綺麗に重なって。もう、悲しくない」と呟きます。そして、昼の12時、レンが目を覚ますといつの間にかナナが隣で寝ています。

婚約のお知らせ

レコーディングのスタジオにて、新しいレイラの歌は「不倫の歌だ」とメンバーやマネージャーから評価されますが、レイラは純愛なのだと言い張ります。そんな中、タクミは「近いの指輪といえば俺、結婚するんだ」とマネージャーに伝えます。メンバーもスタッフもショックを受けます。ハチ子の策略に乗っているとナオキは言い始め、レンは「ノブの子じゃねえのか」と一人呟きます。

ナナのことを計算高い策略家だと思っているナオキは、愛がなくても良いのか?と問いますが、タクミは「愛なんて後付けだって。人間なんて所詮、みんな自分が一番可愛いのだから、己の欲望をより多く満たしてくれる相手を愛していしまうものだ」と語ります。現場の衝撃が一度落ち着いて、レコーディングに取り掛かろうとすると、レイラがいないことに一同は気づきます。

いとしのレイラ

場面はシンがCDショップでエリッククラプトンのアルバムを購入するシーンになります。レイラがホテルで、父親がクラプトンの「いとしのレイラ」が好きで自分の娘にその名前をつけたこと、この曲を聞くと一人じゃない気がするということを言っていたのを思い出しながら、レイラからもらったお金でCDを買い、店頭のアコースティックギターを眺めます。

そんな時、レイラからシンに着信があります。シンが電話にでると、ただただレイラが泣いている声が聞こえてきます。泣きながら言葉がしどろもどろになっているレイラを心配したシンが「なんでも言って、何でもするよ。お金はもういらないから」と言うと、「ヤスのケータイの番号を教えて」とレイラが言います。夕方、連絡を受けたのであろうヤスが急いで家に戻ると、レイラが玄関前で座り込んでいます。

放心

その頃、レンの家で寝ていたナナはノブの電話に起こされます。どうやらバイトの時間はとっくに過ぎており、休んでしまっていたようです。バイト先にはノブがうまく取り繕ってくれたようです。奈々の一件でショックを受けている自分はバイトに行ったのにナナが休んだということで、ノブは責めるどころかナナを心配します。ご飯でも食べに行くかとナナを誘いますが、ナナは上の空の様子で「私、どっかおかしいかも。自分がなんでここにいるのか、思い出せない。」と静かに語ります。

いちごのグラス

「いちごのグラスが床に転がり落ちそうになったことまでは覚えてる。あれは、初めて二人で買った、お揃いのグラスだったのに。私はあのグラスを、ちゃんと受け止められたのかな」というナナのモノローグをバックに、夕日に照らされた奈々が割れたグラスを片付け泣いている情景が描かれます。

「あのさぁハチ、あんたの全てを受け止めるには、私の器は小さくて、安物のグラスみたいだった。だけど、全てを失う寂しさに比べたら、ひび割れていく痛みの方が、マシだったんだ。私が脆かっただけ。あんたのせいじゃないよ」というナナのモノローグで幕を閉じます。

みどころ

バンドをやっている人間で愛煙家は数多いですが、ナナたちもその例に漏れず、タバコが人生や生活の中によく根付いていることがわかります。物思いにふける時や遠い過去を思い出すときに、その匂いとリンクするんでしょうかね。

さて、今回はついに二人のナナに亀裂が入ります。タクミがあれよあれよという間に婚約を決め、ナナへの気遣いも見せますが肝心の奈々が黙り込んでしまったこともあり、二人の間には決裂ともいえる壁が生じます。

なんだかんだ言って、まともなタクミの一面もこの話のポイントです。スキャンダルに関する考え方や、ミュージシャンとしてのこだわりの持ち方、プライドにはナナも驚くほどです。しかし、そんなタクミもまた一人の寂しがりの男であることも描かれます。この辺りの描写がさすがですね。

二人のナナの大事なアイテムである「いちごのグラス」はついに割れてしまいます。修復不可能な出来事として描かれるこのイベントは、ナナの精神状態になんらかの影響を与えるトリガーとしての役割もあるようです。

タクミの職場での婚約発表も非常に面白いです。事情をしるレンとは裏腹に、奈々に対して偏見を持っているナオキの食いつきっぷりが可笑しいですね。マネージャーの慌てっぷりも必見です。

タクミの婚約発表にショックを受けたのはレイラも同じようで、ずっと思いを寄せてきたタクミが急に結婚するとのことでレコーディングを放り出してしまいます。そんなときに電話をかけたのはシンですが、頼るのはヤスというなんとも言えない切なさが見ている方を不安に、悲しくさせます。

そんなヤスがレイラがいるという自分のアパートの直前までまで走って来たのに、玄関の少し手前からタバコを取り出し、落ち着いた様子でレイラと対面するのは、このアニメ随一のかっこいいポイントではないでしょうか?

ノブに言われた「お前おかしいよ」という言葉の通り、ナナは自分がおかしいのではないかと思い始めます。ショックを受けてしばらくの間、記憶が飛んでいるということは普通はあまりない現象でしょう。母親となりしっかりしなければいけないという奈々、何かがおかしいと感じるナナ、タイプの違う二人の人生が大きく変わっていく起点となるのが今回の話です。

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