NANA 第36話 「ブラスト新曲!!」

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あらすじ

ナナの苦悩

レンの家でナナは、もう九日も家に帰っていない、時間がたてばたつほど帰りにくいと思い悩みます。そして、奈々があの部屋で一人で何をして過ごしているのだろうと思います。トラネスのレコーディングは予定よりも伸びて、メンバーは合宿状態が続いており、奈々は寂しい毎日を送っているだろうとナナは思いますが、一方でそれが奈々の選んだ人生だから同情もできないとナナは一人納得します。「私は、ハチが寂しさを募らせて私を恋しがってくれることを望んでいた。」と寂しく思います。

それぞれの進捗

一方のトラネスのタクミはなかなか眠れないようでレコーディングは過酷なようです。しかし、ナナの予想とは裏腹に奈々から赤ちゃんができるのが楽しみで仕方がないようなメールが何通もくるようで、タクミはどうして女の人は肝心なことはなかなか言わないくせにどうでも良いことはいちいち報告してくるのかとぼやきます。

一方、週刊誌の方はナナの過去を根掘り葉掘り取材しているようで、学生時代の暗いエピソードを集めます。真偽のほどは分かりませんが、なかなか悪い噂が多いようです。取材の報告の最中、缶詰状態だったトラネスがレコーディングを終えたという連絡が入り、何としてもレンとナナの2ショットをとってこいとカメラマンは言われます。

川野とヤス

ブラストはプロデューサーとディレクターへ派手に新曲を披露し、デビューの準備は徐々に進んでいると言われますが、ナナたちは焦ります。ノブの家でシンは、トイレで盗み聞きしたことをナナとノブに話します。その頃、ヤスは川野と飲み屋で打ち合わせをしてます。不況の影響で会社が新人バンドの売出しに消極的であることを川野は詫びます。

なかなかデビューまでのやりくりが大変な様子ですが、ヤスと川野はお互いに諦めることなく信頼していることを語ります。「ここまで思い入れてもらえてありがたい」というヤスに「思い入れだけではビジネスは成立しないがね」と川野は自嘲気味に語ります。

荷物

そんな川野にヤスは、「自分は音楽を思い入れのないビジネスにするつもりはない。うちのバンドはナナやシンといった人様の愛情に恵まれずに育った奴もいる。あいつらにも、世の中所詮金と欲だけだって思わせたくない。でも、この先ますますそれを思い知らされることになる。せめて、川野さんのように本気でウチのバンドに愛情を注いでくれる人に後ろ盾してもらいたい。荷が重いですか?」と語ります。

すると川野は感じ入った表情で「君が抱えている荷物の方が重そうだな。半分持たせてくれよ、両手いっぱい塞がってると肝心な時に身動き取れないぞ」と川野はヤスに酌をします。「その通りです」と静かにヤスはそれを受けます。

口論

一方のノブの家では、シンがレコード会社の人たちの本音を盗み聞きした話を聞いたノブが酒をあおります。シンはいつも通り「ハチに慰めてもらえば」と言いますが、軽く流されナナは「その名前は二度と口にするな。ノブにだって触れられたくないことがある」と言います。

なんとなく気まずい雰囲気になりシンは帰ろうとしますが、ナナが「女にもらった金でアコギなんて買っていい身分だ。楽して欲しいものが入るからハングリー精神が無くなっていくんだ。アコギなんて弾いて遊んでる暇があったらベースの練習をしろ」と、最近の真剣さが足りない様子も合わせて突っかかります。

シンの反撃

するとシンは「禁煙も続かないボーカリストに偉そうに言われたくない。ナナさんだって新しい高価そうなギターは不相応だな。ギターも服も美里とレンからの貢物なのだろ」と返します。「ウリやってるお前と一緒にするな」とナナが返すと「僕はそれなりの奉仕をしている。一緒にされたくないのはこっちだ。ナナさんなんてレンの優しさに甘えてるだけだ」と冷たく言い放ちます。

核心をつかれたナナは、「甘えちゃ悪いかよ!」と泣き崩れ、シーツにくるまります。そんな時、ノブのケータイにレンから着信が入ります。レンは奈々についての件を心配しているのか、元気か?と聞きます。レンは既に自分にはどうしようもないと悟っており、レンは「いじめがいがないなあ」と笑います。

レンの心配

話はナナのことになり、レンは電話もメールも繋がらないから心配していたと言います。レンは最近ナナの感情の振り幅が大きすぎる事や、自分がやったことの記憶がないという発言をレンに伝えます。一方のレンは「確かにそれは変だな」と言いながら、自分の家のシンクにケータイが落ちているのを発見します。

どうやらレンがノブの家にナナを迎えに来るという事になったようですが、ナナはパパラッチが狙っていることも自分に伝えずに家に呼び続けていたレンを自分のことしか考えていないと非難し、レンが来る前に部屋から出て行こうとします。そして、レンのおこぼれみたいに騒がれるのはごめんだ、と言い、レンにギターを返してしばらく会わないと伝えてくれとノブに頼みます。「そんなに自分のプライドが大事かよ、レンにはお前が必要なんだよ。自分のことしか考えてないのはお前だ」とノブはナナに言いますが、振り返りもせずナナは帰ります。

満ち足りない月

アパートに続く河原の道、満月に少し届かない月を見上げてナナは自分とレンとの関係の満ち足りない感じを重ね合わせます。どんなに深く愛しても誰も私を満たせない、でもステージに立っている時だけは完全になれるのだと一人思いながら、自分の夢だけは守り抜かなきゃいけないと心に強く思います。

アパートに着き、奈々が寝ているかもと思いインターホンを押すのを躊躇うナナは「どこいったんだよケータイ、あるとウザいけど無いと何かと不便だ」とぼやきます。アパートに入る直前、タクミがいるかもとナナは身構えますが遠慮することは無いと思い直し部屋に入ります。

707号室

ナナは静かで人気のない707号室に入ると、「ナナへ」と書いた手紙がテーブルに乗っているのを発見します。手紙を持って奈々の個室をノックしますが返事はありません。そして部屋に入るとそこには空っぽの空間がただ存在しているだけでした。

「あのさぁハチ、あの頃、恋に溺れてばかりいたあんたも、もしかしたら私と同じ、満ち足りない思いにもがいていたのかな。それなら理解不能だったあんたの気持ちも、少しはわかる。あんたが守り抜いた新しい命は、今もあんたを満たしてる?」とナナの悲しげなモノローグで幕を閉じます。

みどころ

少しずつ、色々なバランスが崩れていく様子が描かれる回です。特にナナの精神がどんどん揺れていく様子がみどころでしょう。一方で、奈々とタクミはいい感じな様子がさらっと語られます。

個人的にはヤスが推しなので、ヤスと川野のやりとりにグッときます。「人様の愛情に恵まれない奴ら」であるシンとナナのことをしっかり気にかけている様子がなんとも言えません。ヤスの荷物はなかなか複雑で重そうです。

ナナとシンの口論は、なかなか見応えがあります。何かと焦りシンに不満を感じつつあったナナが最初にシンに噛み付くのですが、筋や論理が通っているのはシンなので結局言い負かされてしまいます。侮れませんね。

今回かなり気に入っているのは、口論の終着の決め手となった「レンの優しさ」が口論の後にすぐノブの電話によって描かれるということです。初めて見たときは特に気にしませんでしたが、後から見返すとなるほど!と非常に驚き、また作者の演出の巧みさに驚きました。

さて、707号室からはついに奈々が姿を消します。既に引越しを終えているようで、ナナの喪失感がこれでもかと見ている方に感じさせます。夜更けの吹き抜ける風邪や空気感の描写が大変見事です。

物語の間に挿入されるレイラの姿、なんども出てくる月の様子など、なかなか考え練られている回です。

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