ヒカルの碁 第六十五局 「伊角の碁」

あらすじ

洗礼

昨年、プロ試験に落ちてしまった伊角の久々の登場です。辞めてしまった九星会の出身棋士たちに混じって、中国で囲碁の勉強にやってきます。どうやら親善試合に参加するようです。

やる気に満ちた表情で中国のはるかに年下の子供と対局する伊角ですが、負けてしまいます。どうやらその子は趙石(チャオ シイ)という14歳ですが相当な実力者のようです。力を出し切れなかったことが悔しいと語りますが、力を出し切れていれば勝てたのかと問われ表情を硬くします。

和谷の怒り

中学校に来たアキラから逃げて来たヒカルは、その昔に佐為と石を打つ練習をした公園に寄り、悲しげに懐かしい思い出に浸ります。すると、そこに和谷がやって来ます。和谷はヒカルの家に行く途中だったようで、研究会や手合いに来ないヒカルの真意を確かめます。

囲碁なんてもうどうでも良いなんて言えないなと、ヒカルは和谷への返答に詰まります。和谷は、「止まってるのはお前だけだ」と最近の身の回りの人たちの様子を語ります。そして、伊角が中国に修行に行ったこと、伊角がプロになった時に恥ずかしくないのか?碁は打ちたくないのか?と問い詰めます。和谷の強引さにヒカルはたまらず逃げ出します。

伊角の決意

伊角たちの一行は二泊三日の親善試合の日程が終わり帰路に着き始めます。しかし、伊角はもう一泊して先日負けた子と対局してから帰りたいと言います。しかし、中国棋院のレベルは凄まじいもので各省から選ばれたプロの一人で、棋院の中の寮に住んでいるのだと聞かされます。

伊角は、たとえ相手がどんな人だったとしても自分の力を出し切れないまま日本に帰りたくはないと考え、プロ試験にも自信を持って挑みたいと考えます。すると、棋院の人が伊角にしばらくの間中国にいて棋院で勉強していくことを進め、伊角はその話にありがたく乗っかります。

中国棋院

中国棋院とは非常に厳しいところで、成績が悪いと地方に送り返されてしまうこともあるようです。多くの学生は伊角より年下ですが、訓練室では朝から多くの人が勉強に来ています。そんなところに、レェピン(楽平)と呼ばれる和谷を小さくしたような子供がやって来ます。あまりに和谷に似ているため、伊角は会った途端「和谷!」と叫んでしまいます。

楽平は田舎から北京の棋院にやって来た囲碁のプロですが、囲碁の勉強にはあまり熱心ではないようです。昼食の時、李先生は伊角に、短い時間でも一生懸命やれば必ず得るものはあると励まします。

楽平(レェピン)との対局

そして、午後の対局の時間になり伊角と楽平は対局することとなります。こんな子供に負けるわけにはいかないという伊角でしたが、油断もあってか負けてしまい、大したことないと言われてしまいます。対局を観戦して感想戦をしていても伊角は実力差を痛感します。そして、中国棋院に残れば勉強になると思っていたが、ただ自信を無くして惨めな思いをするだけかもしれないと焦ります。

一手10秒の早打ちを持ちかけられる伊角ですが、相手の力に圧倒され気おくれして投了してしまいます。すると相手は驚いた様子で投了にはまだ早かったのではないかと伊角に言い、戦局を説明します。伊角は実は自分の戦いぶりが悪くなかったことを知って愕然とします。

楊海(ヤンハイ)登場

気落ちしているところに、一人の院生が声をかけに来ます。気さくな雰囲気で話しかけてくるその人は楊海(ヤンハイ)という人物で、伊角に自分の二人部屋で寝泊まりしないかと聞きますが、伊角は断ります。どうやら日本の芸能界に興味があるようで伊角に色々と話を聞きたいと考えている模様です。一局対局するかと言いますが、落ち込んでいる伊角はそれを断ります。

伊角は、一人で昨年のプロ試験でヒカルと和谷そして福に三連敗した後に自分を立ち直らせてくれたのは越智と打った自分の碁であったことを思い出します。しかし、自分が今いる中国棋院でその時に抱いた自分の力を信じる気持ちを持てるかどうか不安になります。

みどころ

ついに題名がヒカルの碁から伊角の碁に変わりました。ということで、主人公は伊角になります。昨年のプロ試験にて、ヒカルとの対局で一瞬の判断ミスによってペースを崩され、和谷と福にも負けてしまった伊角が長い時間を経て、中国への親善試合のツアーに参加しています、

中国は日本よりも囲碁が盛んで、プロ棋士の養成もものすごい競争率の中で行われ、地方からの棋士は棋院に住み込みで切磋琢磨しているようです。そんな中に伊角は自分に自信をつけるべく修行しに行きます。

しかしながら、周囲の圧倒的なレベルに伊角は自信を無くし初めてしまいます。伊角の地名的な弱点である精神面を鍛える場にもなりそうです。

ヒカルの碁は随分と昔の漫画になっておりますが、当時の日本と中国の関係や雰囲気なんかもうまく描かれているように思います。そう言ったことを考えても、伊角の勇気や信念、覚悟のようなものの強烈さを感じることができます。

レェピンという和谷にそっくりの子供や、ヤンハイという気のよさそうな人物なまで、魅力的なキャラクターが出てくる伊角の碁に注目です。

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