ヒカルの碁 第六十四局 「慶長の花器」

あらすじ

「テレビをご覧のみなさーん!お久しぶり!佐為でーす!」という佐為が出てきます。ヒカルがまだ中学一年生の時の話で、ヒカルの碁番外編という扱いです。時系列としては、海王中囲碁部に惨敗した直後の出来事です。

ひょんなことから、野球部に喧嘩を売られたヒカルはバッティングの勝負を申し込み、見事な大ファウルを打ちます。するとボールは将棋部の部屋に入ってしまいトロフィーるいがめちゃめちゃになってしまいます。そして、あの加賀が登場します。

加賀は、トロフィーなんてどうでも良い様子で割れた湯呑みをヒカルに見せます。愛用の大事な湯呑みが割れたと加賀は大騒ぎし、ヒカルは加賀が満足するような湯呑みを探すことになります。

湯呑みを探しに骨董品店に行くと、店主が「慶長の花器」を客に勧めているところに出くわします。それを見た佐為は、その品が偽物であることを見抜きます。どうやら、秀策が花器に詳しかったようで、佐為の方もよく知っているようです。

店主の150万だという発言に驚いたヒカルは偽物だと口走ってしまい、お客さんとのやり取りの中で器が割れてしまいます。ヒカルはしどろもどろになりながら、佐為から言われた通りに花器が偽物たる根拠を並べます。すると店主はなかなかの目利きだと言います。

店主は、「この商売をやってると、モノだけじゃなくて人間の出来不出来もわかるようになる。この世に人間は二種類、目が利くやつと、目の利かないマヌケだ」と言い、「お前の目利きに免じて弁償は許してやる」と店主は言い放ちます。

どうやら、この店主は非常にあくどい商売をしているようで、偽物をつかまされたと言う電話に対しても「目の利かない奴が悪い。わからないのに買おうとするのが分不相応なのだ」と対応します。そんな時、一人の女の子が、お店の品を盗まれたおじいちゃんのモノだと言ってやってきます。

その皿を見た佐為は、それが慶長の花器であることを見抜きますが店主はどうやらそれを安物だと思っているようです。そして、佐為はその皿には隠された秘密があるが、店主はそれに気づいていないと看破します。

女の子が無理やり皿を取り返そうとすると、それを店主は突き飛ばし反動で今度は茶碗が割れてしまいます。すると店主は茶碗代の5万を弁償しろと言い始めます。店の奥に碁盤を見つけた佐為とヒカルは、茶碗代をかけて囲碁の勝負を持ちかけます。しかし、なんとその店主はどうやら囲碁の免状を持っているようで、かなりの実力者のようです。

自信満々で勝負を挑む黒番の店主に対して、いつも通り佐為が圧倒的な打ち筋で勝利します。佐為はその昔、寅次郎と見た花器が目の前にあることに巡り合わせと懐かしい思いを感じます。そしてヒカルと相談し、店主と碁石を交換し、圧倒的に黒が不利なこの局面からヒカルが黒番に交代して対局を続け、逆転したら皿を女の子に返すよう交渉します。

自分が投了した囲碁を黒白交代して逆転という、ありえない要求に「やれるもんならやってみろ」と店主は怒りながら応じます。すると不思議なことに、絶対的に黒が負けそうだった局面がいつの間にか、黒優勢に変わります。驚き絶句する店主は負けを認めます。

賭けに負けた店主は「あんな花器などくれてやる!」と言います。花器の秘密を佐為から聞かされたヒカルは、もう一人の客に花瓶の水を花器に注ぐよう言います。言われた通り水を入れると、花器の底に花模様が浮かび上がります。佐為は時を超えて存在する花器と自分とを重ね合わせ、時の流れに思いを馳せます。

目の前の花器が本物であったことを知った店主は花器を渡さまいとしますが、自分が自分の言う目の利かないマヌケだったことをヒカルから諭されてしまいます。帰宅後、ヒカルは加賀湯呑みを買ってくることを忘れていたことに気づきます。

翌日、ヒカルは慶長の花器だと偽って寿司屋の湯呑みを加賀に渡し、怒られ他ところでエンディングです。

みどころ

番外編ということで、佐為とヒカルの懐かしい日々が思い起こされます。本編とはほとんど関係ないエピソードですが、なかなか面白い小話ではないでしょうか。

倉田が登場する話でも出てきた通り、悪徳骨董商と囲碁には何か深いつながりでもあるのかと思わされる話です。火のないところに煙は立たぬと言いますから、何かしら元ネタはあるのでしょう。

ヒカルが佐為の力を悟った後に挿入されたエピソードですが、佐為の凄まじい強さがクローズアップされていて興味深い一話です。

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