ヒカルの碁 第五十一局 「倉田六段」

あらすじ

囲碁フェスティバル

ヒカルと佐為はアマチュア囲碁フェスティバルに参加します。対局だけでなく講座や指導碁もあり、ヒカルは佐為の気も晴れるだろうと思い連れてきたようです。塔矢名人との対局に関して、二人ともお互いに対して悪いことをしたと思っているようです。

悪徳業者とプロ棋士

会場には怪しげな業者が商売しており、そこに御器曽というプロが顔を出します。どうやら二人は悪徳業者とそこに箔を付けるプロという間柄のようで、材質を偽装した碁盤などを売ることで懐を肥やしているようです。

その悪徳業者のところにヒカルが顔を出すと、佐為は材質の偽装を見破ります。ヒカルと佐為が業者を追求しているとそこに御器曽が登場し商売の邪魔をたしなめます。スタッフがヒカルを注意していると、すぐ近くで本因坊秀策の署名入りの碁盤が600万円で売られていることにヒカルたちは気づきます。

御器曽が商品の説明をすると佐為はそれも嘘だと看破します。「偽物!?」と思わずヒカルが呟いたことで、その場のお客さんは帰ってしまいます。御器曽が「これは正真正銘の本物だ」と言い業者も同調しますが「なんでプロがそんな嘘をつくんだよ!」とヒカルは食い下がります。

スタッフの人が御器曽を指導碁に呼びに来たところでその場は収まります。スタッフはヒカルから材質偽装の話を聞き、確かに自分もそんな気がしていたと漏らします。しかし、プロの力あってのイベントのため、御器曽先生からの紹介で今回の業者を断れなかったのだと言います。 

指導碁と佐為

気分の悪いヒカルと佐為は、御器曽が指導碁コーナーで先ほど碁盤を買わなかった客に指導碁をさしているところを見つけますが、ただの弱いものいじめの碁になっており、二人は憤慨します。

お客さんの方が圧倒的に不利な局面から、ヒカルは選手交代して続きの対局をすることとなります。逆転したら秀策の碁盤を引っ込めるという条件で対局をします。もちろん打つのは怒りに燃える佐為です。

倉田六段

一方で、講演会場では倉田六段が大変な人気者としてお客を賑わせています。そこに、先ほど御器曽の指導碁で痛めつけられた参加者が現れ、指導碁とヒカルについて話します。倉田がプロ相手にそんなことできるわけないと豪語していた矢先、別の参加者がヒカルが御器曽との対局を逆転したと報告しに来ます。

ヒカルと御器曽が対局しているところに、知らせを聞いた倉田がやって来ます。倉田の存在に気づいた御器曽は急いで盤面を崩し、片付けてその場からいなくなってしまいます。「約束は守れよ」とヒカルは叫びます。そんな中、ヒカルに興味津々の倉田はヒカルに指導碁について問い詰めますが、途中でヒカルが週刊碁に出ていた新初段であることに気づきます。

事件の解決

倉田とヒカルが例の悪徳業者のところに行くと、品物を見た倉田は色々と悟ります。その場の碁盤だけでなく今まで売ってしまった分についてもスタッフと共に問い詰め、悪徳業者はタジタジです。そして、問題の秀策の署名入り碁盤に話は移ります。「絶対に偽物か?」という倉田に対して「俺が言うんだから絶対!」とヒカルは豪語します。

プロの世界

倉田はヒカルに対して感心しつつも、御器曽のような落ち目のプロに勝ったくらいで良い気になってはダメだと言い、また本当に怖いのは下から上がってくる新しい才能であると倉田は語ります。倉田はヒカルにサイン入り扇子をプレゼントしますが、いらないと言い扇子に自分のサインを書き加えたヒカルに対して倉田は驚き、名前を覚えておくと言い残しその場を後にします。

みどころ

アニメ版のヒカルの碁としては、終盤に差し掛かるシーズンです。ヒカルが新初段シリーズを終え、いよいよプロになるという時期での出来事としてのエピソードです。

囲碁フェスティバルの内情や、プロの世界について非常によく描かれている回です。御器曽プロのような人が本当にいるのかどうかはともかく、やはりどこの業界にも悪徳業者というのは存在するんですね。

この回では倉田という中堅プロが登場します。若手の中でも圧倒的に力があり、今後が期待されているプロですが、囲碁を初めて二年でプロになったということで注目を集めている人物です。これまで、ヒカルについて言及する際に何度か取り上げられている人物でもあります。

終盤での倉田の言葉は中堅プロ特有の悩みとでも言えるのでしょうか、なかなか真に迫っており考えさせられます。独特すぎるキャラクター性も大きな魅力の人物です。

最新情報をチェックしよう!