ヒカルの碁 第四十三局 「ヒカルVS和谷」

あらすじ

ヒカルの成長と佐為の不安

ヒカルと対局する佐為は、ヒカルが時々「いつも一緒に打っている佐為だったらどう打つか?」を考えて打っているというのを聞き、ヒカルとの出会いからこれまでを振り返ります。そして、自分はずっと死なずにヒカルが死んだらまたどこかの碁盤に宿り現世に戻る時をまた待つものと思っていたが、考えてみればそんな保証はどこにもないと気づきます。

ヒカルは残りの二戦、合格が決まった越智との戦いより、二敗のまま合格分からない和谷との対局の方が怖いと語ります。しかし、心にかかる重圧は和谷だって同じだと佐為は語り、自らの不安などヒカルのそれに比べれば取るにたらないと思い直します。

対局の前、ヒカルは以前囲碁大会を見学している時、対局に口出しをして怒られた人に出会います。しかしその人は、ヒカルが現在3敗で合格間近なのだと知り、そのときの一件についても納得します。しかし、その時に対局の急所を見抜いたのは佐為でありヒカルではありません。自分のやったことがヒカルがやったこととして上書きされていくような不安を佐為は感じます。

和谷との対決!

対局場で待つ和谷の「早くやろうぜ!」に対してヒカルは「ああ!」と元気に応じます。佐為は自分の不安など些細なもの、ヒカルを見守るのが第一だと対局に向き合います。

和谷は森下九段の通い弟子となって五年、今年でプロ試験は四回目です。家族ぐるみで愛され、応援されている和谷は今年こそ合格するぞと意気込みヒカルとの対局に臨みます。対局は真っ向勝負で和谷が構える白地を守れば勝ち、ヒカルは荒らせば勝ちという局面で、ヒカルは和谷の陣に切り込みます。

師匠からの「お前は受かる!」「プロへ来い!」という言葉を思い出しながら、和谷はヒカルの手の可能性を考え勝利の確信をします。切り込んできた黒の生きる道はない、勝った!と思う和谷ですが、対局を見ている佐為は逆転の一手を見出します。

佐為が見出した一手を見つけられないヒカルは悩み、和谷は勝てば合格が決まるこの一番、勝利と合格の期待を抱きます。

みどころ

ヒカルが佐為のレベルに追いつきつつあるたびに佐為は不安を覚えるようになります。佐為は自分がヒカルの死後も囲碁の神の一手を極めることができると思っていたが、そうではないのかもしれないと気づき始めます。どことなく、二人の関係に変化が訪れる兆しが現れます。

そして、和谷とヒカルの対局。兄弟のような二人の対戦は激アツ展開となります。背後に挿入される和谷の通い弟子としての師匠や家族とのやりとりがなかなか胸にきますね。森下九段と和谷との不器用な師弟関係は対局の展開をより熱いものにしてくれます。

対局の展開も珍しくしっかり描かれます。和谷が築く広大な白地に黒が切り込み、それが生きればヒカルの勝ち、殺せば和谷の勝ちという展開です。生かす道を考えるヒカルに対し、全ての可能性を考えそれを潰す和谷、逆転の一手を見破る佐為という構図が非常に面白いです。

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