長野まゆみの傑作!ギリギリアウトなBL小説?
当ブログでも紹介した「レモンタルト」の作者である長野まゆみさんのイチオシ小説です。長野作品の中で最も耽美で、艶やかで、諸々とアウトな作品の一つです!
まず、題名からしてアウトなわけですが、この作品は全編を通して出てくるモチーフが、全て隠語に結び付けられていて、そういった教養があればあるほど楽しめる作りになっています。
「あらすじ」と「みどころ」
猫飼亭をめぐる5つの物語
この小説は5つに分かれていて、それぞれ別の四人の主人公(1と5が同一)による物語で構成されています。それぞれのテーマになる概念が、色々な際どいイメージのシンボルとなっています。
いずれも「猫」がテーマとなる話となっており、猫道楽というタイトルそのものの物語が、長野作品特有の艶やかでつまびらかな描写で紡がれていきます。
「猫シッター募集」から始まる物語
1つ目の物語は、主人公である大学生の一郎が求人募集で「猫シッター募集」という求人に応募するところから始まる物語です。
作品のメインの登場人物である猫飼亭の面々が登場し、主人公を弄んでいきます。最後の最後にふと衝撃が走るラストも注目です。
傘を取り巻く物語
2つ目の物語は、おそらく社会人である剛史という人物が主人公で、猫と傘をテーマにした暗くノスタルジックな雰囲気の短い物語です。
剛史と猫飼亭の人々との傘と猫をめぐる不思議なやりとりと、物語の中で1番の「曲者」である芳白のセリフもみどころです。
提灯屋のアルバイト
3つ目の物語は、提灯屋でアルバイトする淳也という人物を主人公にした話で、猫飼亭に提灯を取り付けに行く話です。
慕っていた兄を亡くした淳也と、猫飼亭のとりもつ不可思議な縁と、情愛やそれに付随する様々な事柄を考えさせる物語になっています。
タクシーと白猫
4つ目の物語では、寧という人物が主人公で物語の中では唯一の女性である華子という人物も登場します。
一風変わったわがままな令嬢である華子と寧のやりとり、そしてタクシードライバーの「曲者」芳白という三人を取り巻く物語です。
白猫の「ぼたん」という存在も一つの重要な鍵になりますが、この物語もまた暗喩に満ちた面白いものになっています。
再び一郎の物語
5つ目の物語としてエピローグを飾るのは、一番最初の物語の主人公でもある一郎です。ある日、軽い気持ちで惚れてしまった宣伝嬢をめぐるイベントの物語になっています。
世の中には色々な人がいますが、それでもなお魅力的な人物設定をしてくれる長野作品の面白さを存分に味わえる物語になってます。
最高のBL官能小説の一つ
教養として文学作品を読む人は多いですが、教養や知識があればあるほど面白いのがこの小説です。
登場人物のセリフや作者が隠しているメッセージなど気づく場所が多ければ多いほど面白いアイディアとイメージに溢れた作品です。
ただ読むだけでなく、感じるためにはそれなりの知識と経験?が必要であるという点において、官能小説の初心者にも絶対オススメできる一冊です。
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