あらすじ
「当時、デビューして三年目を迎えたトラネスは、シングル・アルバムともにミリオンセラー。ボーカルのレイラの日本人離れした声量と音域の広さは群を抜いていて、その曲のほとんどをレンが書いていた。」
「その日、ライブが終わるまでの2時間あまり、私はまるでレンの一人舞台でも見るようにレンの姿だけを目で追って、レンがナナの存在に気づいてくれるようにひたすらテレパシーを送り続けた。時々レンがこっちを見てくれてる気がしたけど、その目はすぐどこか別の所へ向けられてしまった。」
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動揺するレン
アンコールを残してライブが終了し、ステージ裏では話すと残念なレイラと直樹にタクミは終始ツッコミを入れます。
奈々はナナにレンが客席のナナに気づいたかなと言いますが、ナナはステージから客席は見えないよ、と語ります。そして、ナナは「気分いいだろうなぁ、こんな広いところで歌えたら。」とステージを見つめます。
「歌えるよ、ナナならきっと。ブラストは、トラネスを超えるバンドになるよ。」
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一方でナナの出現にレンは動揺しヤスに電話し、知ってたなら言えよと抗議します。ヤスはレンに奈々の携帯経由でナナとコンタクトをとるよう促します。「今更どのツラ下げて会えば良いんだ」と煮え切らないレンに対して、ヤスは、会う気がないならナナは俺がもらうと挑発します。
ヤスの立ち回り
「まるで夢から覚めたみたいだった。結局レンは今やスーパースターで、手の届かない人であることを思い知らされたような、惨めな気分だった。」
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実家に戻った奈々は携帯にヤスから「レンが電話するかもしれない」とメールが来ており、携帯の電源を切りっぱしで、すでに電話が来ていたかもしれないと詫びます。ナナはヤスに電話すると「今更レンと話すことなどない、余計なことをするな」と抗議します。
ヤスは電話して来たのはレンの方だと言い、「話す事がないならレンに直接そう言え、レンと暮らしてた部屋の鍵と首の鎖の鍵もさっさと捨てろ」「二度と抱けない女の面影に縛り付けられているレンの身にもなれ」と返します。
ナナとレン、再開
「待つのは性に合わない」と言うナナは決心してレンに電話をし、レンの泊まるホテルで会うことにします。厳戒態勢の中でなんとか二人は出会い、部屋に入り抱き合います。レンの腕の中でナナは涙を流し「来るんじゃなかった」と呟きます。
ヤスの過去と優しさ
ノブの家ではナナを除くブラストメンバーが麻雀をしながらナナとレンについて考えます。ヤスはレンが上京した時に自分が説得したことなどを語り、レンの心情を推察し心配します。
レンはヤスにばかり連絡を取っているのに対して「俺はいつも仲間外れだ」とノブがぼやきますが、ヤスは「レンはお前に会わせる顔がないんだよ」と語ります。ヤスは、レンがトラネスの誘いを最初は断ったのでタクミから頼まれた自分が説得したこと、レンが自分を裏切り者のように思っていることなどを語ります。
不器用なレンが芸能界でやっていけるのか、とヤスと心配したノブは「麻雀大会のお誘い」と題してレンと久々に連絡をとることにします。ヤスの言動や行動に興味を持つシンは、色々と尋ねますが、「お前もまだまだ青いね」とヤスはポツリと返します。
「あの頃私は、もう二度と恋なんかしたくないと思ってた。だけど、どんなに傷ついても苦しくても、もう一度夢を見ようて、誰かを心底愛してみたいって、あの夜、ナナの幸せを祈りながら、そんなふうに思ったんだよ。」
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みどころ
前回に引き続きかっこいいライブシーンが印象的ですが、しゃべると残念な直樹とレイラとのギャップが楽しいです。
それよりも何よりも、ヤスがかっこいいですね。男として、少し年上の兄貴としての振る舞いがとても頼り甲斐があり、挑発や計らいもさすがといったところです。自らを俯瞰して最後に「自分はアホだ」と言い切るところも非常に切ないです。
とにかくヤスの名言が多い回で、出て来るセリフ全てが戯曲的と言うか自嘲気味というか、印象的なので個人的にこの回は本当に楽しいです。そして、ヤス自身もこの回である種のジレンマから解放されるという流れもまた素敵です。