ヒカルの碁 第六十九局 「決意の訪問者」

あらすじ

伊角の帰国

ヒカルが不戦敗を重ねていることに、周囲は心配し和谷と越智はプロを辞めてしまうのかと気に病みます。一方のヒカルは佐為が消えたことや、その実力を悟った事へのショックを引きず理、自分がまた碁を打ったら佐為が本当に戻ってこなくなるのではないかと思い悩みます。

そんな所に、プロ試験に向けて伊角が帰国します。帰国して新聞の手合いの結果を見ると、ヒカルの不戦敗が乗っており伊角は驚きます。

ヒカルに何があったのか

伊角は中国でのレェピンとの交流や、中国のエースや次期エースと対局したことも語り、自分の碁に自信がついたと伊角は言います。話題はヒカルの不戦敗の話題になり、和谷はヒカルの不戦敗が慢性的なのものであると明かします。

自分にはさっぱりわからないが、ヒカルはもう囲碁を打つつもりがないのかもしれないと和谷は語ります。棋院を訪れた伊角はヒカルについて聞きますが、緒方も同じようにヒカルを気にかけていることを知ります。

伊角はヒカルが行きそうな碁会所に行くと、河合から「秀策巡り」の一件を聞きます。河合はヒカルが何か探し物をしているみたいだったと語り伊角は不思議に思います。

伊角の問い詰め

伊角はヒカルが何故囲碁を打たなくなったのか、何としても聞かせてもらおうと思い、ヒカルの家を訪れます。ヒカルが留守の部屋に入った伊角は、碁盤に埃が溜まっているのを見て、ヒカルが本当に囲碁から離れているのだと知ります。

帰宅したヒカルは、誰かがいる気配を感じ佐為だと思い部屋に入りますが、伊角の姿をみて驚くとともに少しショックを感じます。伊角はヒカルに手合いの不戦敗について問い詰めます。気まずくなったヒカルはどうしようかと悩みますが、伊角は好敵手であったアキラが三段に昇格し、本因坊戦の三次予選決勝に進んでいると畳み掛けます。

アキラの対局の最中、桑原と天野はアキラの将来や今後の囲碁会について語ります。「新しい波の到来」という話が出た所で、ヒカルが話題に登ります。心配する天野に対して、桑原は、「自分は何も心配していない。ヒカルをプロの世界に引きずりこんだアキラが全力で上を目指している限りは心配することは何もない。必ず戻ってくる。」と断言します。

伊角の頼み

アキラの話題に食いついたヒカルを見て、何故囲碁を打たなくなったのか伊角は問い詰め二人の間には緊張が走ります。伊角は対局を申し出ますが、ヒカルは「ほっといてくれ、俺の心配なんかするな」と言います。

すると伊角は、「お前のためじゃない。俺のために一局打ってくれ。今日はそのために来た」と告白します。そして、プロ試験でのヒカルとの例の一局、そしてその胸中を語ります。そして、今年のプロ試験が始まる前に、しっかりと一局打ち切りたいのだと懇願します。

みどころ

ヒカルが不戦敗を重ね周囲が心配している最中、伊角が帰国します。一時期、実質的な主人公になっていた伊角が棋士としてひと回りもふた回りも大きく成長していることがわかります。見ている方としては、ホッとするというか嬉しいものですね。

伊角が因縁の相手であるヒカルを気にかけ、家にまで訪れるという所に、ある種の凄みを感じます。それだけ前回のプロ試験の出来事が痛手であり、伊角にとって大きな意味を持つものだったのだろうとわかります。

ヒカルに対してアキラはどんどん自分の道を進んでいますが、それを見た桑原の発言が非常に興味深いですね。ヒカルともっとも接点の無いポジションにいながら、常に本質を捉えている不思議なキャラクターです。

伊角がプロ試験前にヒカルに会っておきたい理由は、ヒカルと対局して決着というより、一局しっかりと打ち切りたいというものでした。

佐為のことを考え、もう囲碁は打たないと決意したヒカルは伊角との間で板挟みになります。

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