あらすじ
「もし今、みんなにもう一度会えたら、私はきっとまた甘えてしまう。それが怖くて、ここから動けない。」
「ねぇナナ、今年もまた多摩川に真夏の花が咲く。707号室でみんなで待ってるよ。お揃いの浴衣も、仕立ててあるよ。」
花火大会の日〜ある未来〜
場面は何年か後、奈々とタクミの子供と思われる皐と多摩川沿いの道を、浴衣姿で歩いているシーンで始まります。年に一度の花火大会の日はどんなに忙しくてもナナを除くブラストの面々は707号室に集まるようです。しかし、時の流れが癒してくれない傷もあり、同じ痛みを抱えた面々が集まる日のようです。
そして、場面はいつの間にか過去に戻り、変装したブラストの面々が部屋から花火を眺めるシーンに移ります。
花火大会
花火が始まっても、奈々はアパートに現れずブラストの四人は心配します。その頃奈々は、章司と会った事による精神的な同様や後悔を感じ公園で泣いています。そんな所にナナから電話が来て、早く来いと催促されます。
しかし、奈々は章司と会ったことによるショックや、ノブに対する罪悪感などから、「ノブに会うのが怖い」から行けないと泣きながらナナに語ります。するとナナは「大丈夫だ、ノブなら来てないよ」と嘘をつき、ブラストの三人は驚きます。ナナは「シンもヤスも楽しみに待ってる。今更来れないなんて冷たい事言うな、早くおいで」と諭します。
お気楽な愛情だね
電話が終わるとノブは帰ろうとしますが、ナナは「ハチは、会いたくないんじゃなくて、会うのが怖いって言ってた。まだアンタに惚れてるだよ!」と引き止めますが、ノブは「自分の都合の良いように解釈するな」と言います。
するとナナは、ノブの流されそうな自分が怖い気持ちはよく分かるし、タクミとの結婚を前にノブと元鞘に戻ったりしたら奈々は泥沼にはまってしまうし怖いと語ります。ノブは尚更会わないほうが良いと言いますがナナは、「一緒に泥沼にはまってやらねえのかよ」と食い下がります。
しかし、結局ノブの反応を見てナナは「もういいよ」と説得を諦めます。そして、ノブに対し「アンタは昔から自分と全然関係ない事情で沼にはまっている女を助けてやるのが好きなんだよ。それだと間違いなくヒーロー木戸れるもんね」「なのに自分が巻き込まれそうになったら途端に手を離すのかよ」と挑発し、「お気楽な愛情だね」と言い放ちます。
沼
場面は進み、シンとヤスが河原で花火を眺めます。「残酷だよね、ナナさんって。わざと二人を沼に突き落とすような真似して」とシンは言い、奈々とノブのことを心配し、「ノブさんは平和主義なんだよ。みんながなるべく幸せな毎日を送れるように、一番丸く収まる道を頑張って選んでるんだ。争いを避けることをお気楽だとは、僕は思わない。」と語ります。
どうやら、ナナはノブを一人707号室に残して奈々と再開させるつもりのようで、ノブが一人待つ707号室のドアの前には奈々がやって来ます。ナナの言っていたことを思い出しながらノブと奈々はドアを挟んで対峙します。
ノブの決断
結局、ノブはドアを開けることができず奈々は留守なのかと思いシンに電話をかけます。ノブが居留守を使い奈々と会わなかったことをカンパしたシンは、先に河原で花火を見ていると何食わぬ顔で奈々に伝え、奈々もドアの向こうにノブがいた事を知らないまま河原に向かいます。そしてノブはドアにもたれかり泣き崩れます。
幸せになれよな
何も知らずに河原でナナ、シン、ヤスと再開し奈々は嬉しそうにはしゃぎます。ナナは結婚式に呼んでくれないことを奈々に抗議し、奈々は「来てくれるの!?」と嬉しそうに驚きます。
そして、「ぜってぇ幸せになれよな」と言い、「ノブはアンタの幸せを思って身を引いたんだ、アンタが幸せじゃなきゃ、あいつが報われねぇよ。」と言いながらも、「何かあったらタクミなんかぶん殴ればいい」と言い、奈々の結婚を祝福し応援します。
取り戻せなかった夏
「その日、河原は人で溢れかえっていて、章司と彼女を見かけることはなかった。とうとう幕が降りたんだと思った。一瞬でもよそ見したらはぐれそうな人混みの中、ナナと手を繋ぎたかったけど、ノブと同じ体温のその手を無邪気に引き寄せたら無神経だと思われる気がした。指先に触れる風がやけに冷たい。もう、夏はとっくに終わったんだっけ。」と奈々のモノローグが挿入されます。一方で、帰りの車でブラストの四人が複雑な空気になっているのを銀平は不思議に思います。
「ねぇ、ナナ。ナナが誰よりも望んでいた、取り戻せなかった夏が、今ここにあるよ。ずっと待ってる、10年でも、20年でも、50年でも。」
みどころ
いよいよ最終回です。章司、ノブ、タクミという三人の男に対する奈々の感情、ナナの奈々に対する思いとノブの覚悟と言ったものに焦点が当たるエンディングとなります。
いきなり冒頭から、未来のシーンになるのは面食らいますが、皐が可愛いですね。大人になったシンや変わらないヤスとノブ、すっかりお母さんだけど相変わらずの奈々という微笑ましい四人が見えますが、それぞれが複雑な感情を抱えて毎年集まっていることが描写されます。
ここまでの奈々のモノローグから、毎年集まってるけど毎年ナナが来ないということが改めて明らかになりますた、誰もそのことには触れないようです。ノブの奈々に対する複雑な心境も描かれ、その理由がここから始まる最終話で明かされる良いう構図になります。
奈々の精神面の描かれかたは非常に複雑ですが、女という生き物の弱さや危うさが描かれており、色々と考えさせられます。そして、ナナとノブの対立から、ナナの方の精神的な危うさも浮き彫りになり、様々な人間の弱さが一点に集合するような描かれ方となっています。
漫画版とは少し違うのですが、アニメ版のこのシナリオは非常に神がかっている名シナリオだと個人的には絶賛したいところです。
最終回はたくさんの名言や名シーンがありますが、実際に見て感じるままに味わってみることをお勧めします。改めて何度でも観たくなる、そんなアニメだと確信させられます。