あらすじ
「レンが子供を欲しがっているのはわかっていた。子供がいたって歌が歌えるのもわかっていた。私はたぶん、母親になる自身がなかっただけだと思う。」とナナのモノローグから始まります。
婦人科にて
ナナいわく、レンはくだらない口実を作って自分が家に来るようにしており、二人とも仲良くしている様子。一方の奈々は具合が悪そうで美里に心配されます。ただの夏バテだと言い奈々は病院に行きます。そして、ナナたちには自分の体調について知らせないようにと美里に頼みます。
奈々は産婦人科へ行くと妊娠しているだろうと医師に言われます。出産を希望するかと聞かれ、奈々は返答に詰まります。診察を受ける間、タクミの「煩わしい」発言と、ノブの「信じて待ってる」発言が奈々の脳裏によぎります。
診察とエコーの結果、奈々は妊娠していると正式に宣告され、現在妊娠6週目の半ばだと告げられます。出産するか中絶するか奈々は悩みます。
美里の見送り
その日の夕方、奈々は美里とナナとカフェに行きます。奈々を心配する美里はナナにしばらく家に戻るよう頼みます。奈々は必死に夏バテだと誤魔化しますが、ナナは快くアパートへの帰宅を受け入れます。
美里は、先日のシンのハーフや外国育ちについて語った一件についてナナに言います。シンは自分の存在を否定しているのではないかと心配する美里の発言に対して、ナナは自分の過去を重ねます。しかし、親を否定するのと自分を否定するのは別問題だと言い切ります。もうガキではないので自分の存在意義は自分で見出せる、自分の運命は自分次第でどうとでもなる。とナナは語ります。
生きがい
生きがいを見出すというナナの発言をきき、美里は自分もブラストの追っかけという生きがいを見出してから人生バラ色だと語ります。美里の夏休みはこうして幕を閉じ、二人のナナに見送られながら故郷に帰ります。帰り際、「あんたのためにも日本一になってやる」というナナの発言に号泣します。
「美里は、中学の時からライブハウスにいつも一人で来てて、私はそれがずっと気がかりだった。地元じゃ親とも友達ともうまくやれないんだろう。だけど、他人が聞いたら呆れるようなことを、大声で生きがいって言うあんたに、私がどれだけ支えられているか、わかってね、美里」とナナは心の中で思います。
ふざけた母親
帰宅途中、ナナはシンの家庭事情について、母親が現地で浮気してできた子供がシンで家庭崩壊に繋がったのだろうと言います。しかし、仮にそうだとして何故産むのかと憤り、どっちの子が生まれるか大バクチだし、浮気相手が避妊してたとしても、理性を失っている最中の人間なんてテキトーになりがちだと語り、シンの親が無責任なことは事実だし、まともに育てられそうにないなら産むべきじゃないとナナは語ります。
「世の中ふざけた母親が多すぎる」と豪語するナナの発言が自分の身にもつまされると感じた奈々ですが、「ふざけて産んだわけじゃないと思う」と言い、やむを得ない事情があったんだろう、子供ができたなら産んで育てたいと思うのが当然だと語ります。
母性本能
そんな奈々の様子を不安に思ったナナは避妊薬を買う婦人科に行き、母性本能について医者に尋ねます。そういう本能は誰にでもあるのか?というナナの問いに、女性の本能なのであるのではないかと医者は語ります。しかし、備わっているからといって誰もが発揮できるとは限らない。何事も状況や必要に応じて呼び覚まされるのではないかともコメントします。
ナナはもし仮にプロデビューを控えたこの大事な時期にレンの子供ができたら産みたいと思うだろうか?と自問しますが、「そんなのあり得ない」と自答します。
スタジオにて
ブラストのスタジオの練習はハードになり、シンはお腹が痛いと騒ぎます。話は奈々の事になりますが、ノブが近ごろ奈々と全然会ってないことが話題にのぼります。ナナは奈々が具合悪そうだったと言うとノブは心配します。
お腹が痛いと喚いていたシンは実はタバコを吸うためにトイレに行っています。個室で一服しているとブラストの担当である川野ともう一人の人物がブラストについて話しながらやって来て他のでシンは聞き耳を立てます。どうやら、もう一人の男はブラストのヒットには懐疑的で、会社が金を出せないのは目に見えていると語ります。ナナたちのビジュアルは認めるが、今どきパンクは流行らないだろうと言います。どうやらブラストは川野以外の人からは期待されていないことが明らかになります。
つわりとタクミ
一方、つわりに苦しむ奈々は、まともに育てられないなら産むべきではないというナナの発言を思い出します。そんな時、ノブからメールが来ますが思い悩む奈々はそれを放置します。そんな矢先、インターフォンが鳴り、奈々かと思いドアに行くとそれはタクミでした。
タクミの嘘まんまと引っかかりドアを開けてしまった奈々はタクミに帰ってくれと言います。奈々が苦しむ様子を見たタクミは奈々の妊娠にカン付きます。「産んだりしないから安心して、彼氏の子かもしれない」というナナの発言を聞いたタクミはノブのことか?と表情を変え奈々に問います。
無言の奈々のを見たタクミは「そうか、わかったよ」と言い残し、どこかに消えます。自室に戻ろうとした奈々は部屋に鍵がかかっている事に気づき、ケータイの音を耳にします。全てを悟った奈々は「ノブには言わないで!」と叫びます。
電話
そんなことは知らず、ナナとノブはアパートへ続く河原の道を歩いています。電話が来ないなら寝ているだろうというナナに対して、せめて寝顔を見たいとノブはのろけます。そんな時に、奈々から着信があり、二人は盛り上がります。
ノブが意気揚々と電話に出ると「もしもし、タクミだけど」という声が聞こえてきてノブは絶句します。動揺するノブに対して、タクミは「奈々にガキができた。どっちの子か知らないが、奈々が産みたいなら俺は面倒を見ようと思うが、お前はどう思う?」と淡々と語ります。
「あのさあ、ハチ。自分の人生は自分次第だって私は今もそう思っている。だけど、人は誰しもそんなに強くはなれないことを、認められるようになった分、あの頃より優しくなったよ」とナナのモノローグが悲しく響きます。
みどころ
ついに奈々が妊娠します。これまで何度か修羅場はありましたが、ついにここまで来たかという感じです。
ブラストのデビューに対するレコード会社の本音や美里のエピソード、シンの家庭問題とそれに対するナナの考えなど、非常に内容の濃い回です。
美里の話すシンの一件に対するナナの自分の存在意義や運命に対する考え方、そしてその母親に対する考え方は、自分の幼少期に由来するものであると描かれます。それを聞く、誰の子かわからない子を妊娠してしまった奈々の心中を思うと非常に辛いですね。
何かに気づいたナナが母性本能について問い、そして自分の場合には無いだろうと否定するのも、なかなか考えさせられます。難しいですね。
ブラストのデビューはなかなか厳しいのか、時代遅れのファッションとパンクに対する会社の厳しい意見がシンの盗み聞きによって明らかになります。川野の会社での立場についてもさらっと描かれます。
物語の終盤、ついにタクミが現れ、自体は急展開します。恋愛アニメ、恋愛漫画の中でもやはりNANAは面白いですし、人物描写が凝っていて凄いですね。