ヒカルの碁 第五十九局 「塔矢行洋引退!」

あらすじ

騒動

塔矢名人の引退の速報は碁会所や棋院、スポンサーやマスコミなどを巻き込んだ大ニュースとなります。プロ棋士たちも引退の理由や、これからのタイトル戦をどうするのかといった対応に終われます。

名人の息子であるアキラには必然的に色々と質問が来ますが、アキラが言うには名人は元気で家には棋士の人が何人も来て碁を打っているとの事。アキラ自身も名人引退の理由は知らないようですが、これからは自分が頑張りますとコメントします。

名人の家で

アキラは家に倉田が来た時のことを回想します。倉田が引退について、タイトル戦の空気で培われるものがあるのでは?という問いに対して、自分にとってはつまらないしがらみから解放されること、往復に二日も費やす事もなくなると名人はコメントします。

倉田は、これからは名人の家に碁打ちがやってくるのだろうと言い、また来ますと頭を下げます。アキラが倉田に挨拶しに行くと、倉田は上ばっかり見てると下、というよりもすぐ後ろに怖い存在がいるぞと忠告します。倉田はヒカルの名前を挙げ、自分を倒すことになるのはアキラかヒカルだと言います。アキラは衝撃を受けるとともに、ヒカルに対する思いを一層強くします。

再びデビュー戦

名人が倒れたことによって、第一回の大手合いは不戦勝になったヒカルは今日が実質的なデビュー戦になります。相手はヒカルには負けられないし勝てるだろうと思いながら対局に臨みます。

負ける気がしないと静かに意気込むヒカルを見て、神の一手に続く道を自分ではなくヒカルが歩み始めたと悟っていた佐為は、運命をなんとか変えることはできないのかと嘆きます。

対局はヒカル有利に進み、守りに入ってもおかしくない局面でも攻勢を緩めません。佐為はヒカルの成長ぶりと実力に驚き、ヒカルは中押し勝ちします。一方でアキラも中押ししたようで、相手は「どれだけ勉強しても一生勝てない」とコメントします。

アキラの自問

アキラは帰り道、自分がsaiの一件以来、ヒカルが自分の前に現れた理由や、追い追われる関係になった理由に関して自問します。

佐為の哀しみ

ヒカルは帰宅後、佐為を相手に対局し今日の自分の手合いについて自慢げに語ります。複雑な表情のままヒカルの話を聞く佐為ですが、ヒカルの悪手を厳しく指摘し、こんな手を打っておいてよくそんなことが言えるなと小言を言います。

「ヒカルなんか、私に勝てないくせに!」と佐為はヒカルに叫んでしまいます、「もっと碁が打ちたい」「永遠の時間が欲しい」という思いに溢れますが、どうしても「ヒカルは私に勝てない」という言葉が口から出て来てしまう佐為に怒ったヒカルは、「お前なんか俺がいなきゃ碁石も持てない」と言ってしまいます。

拗ねてしまった佐為に対してヒカルは冷たくなり、対局の続きの申し出も断ります。「ヒカルのバカー」と佐為は叫びますが、二人の関係はギクシャクしたまま朝を迎えます。

泥棒

翌日、ヒカルのおじいちゃんの家の蔵に泥棒が入ったという電話があり、碁盤が心配なヒカルと佐為は現場に駆けつけます。

ヒカルが蔵に入ると、どうやら碁盤は無事なようです。しかし、ヒカルが目にしたその碁盤は、初めて見た時にはついていたシミが薄くなっていることにヒカルも佐為も気づきます。

みどころ

塔矢行洋の引退によって怒る騒動が前半お見どころです。これまで出て来た関係者やプロ棋士たちのコメントなどが聞けて楽しいですね。

倉田の登場も特筆すべきポイントです。これからは元名人の元に碁打ちがやってくるという、非常に鋭いコメントとともに、アキラとヒカルを繋げる役割としても描かれます。

アキラが相変わらずヒカルに対して執着しているのは、ライバルだから当然ではあるのですが、非常に面白いですし、もはやお約束みたいになっていますね。

さて、ヒカルと佐為の二人の間にはすれ違いや衝突が起こります。佐為の幽霊特有の?思い、囲碁に対する思いがヒカルへの小言や嫉妬に変換されてしまい、結果的にヒカルを怒らせてしまうというのは非常に切なく、もどかしいですね。

名人との対局そしてヒカルの見つけた逆転の一手、あの時点から佐為は運命を悟り、焦り始めますがヒカルがどんどん力をつけていくことで、自分の時間が減っていくことを理解しているのでしょう。物語のフィナーレと悲しい別れが近いことが伺えます。

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