あらすじ
それぞれの敗退と椿の応援
ついにプロ試験は第20戦となります。上位陣が黒星をつけない中で、どの参加者も負けられない戦いが続きます。多くの参加者に刻一刻と不合格が近づきます。越智は19勝1敗で和谷が18勝2敗、ヒカルと伊角そして本田が17勝3敗です。そんな本田ですが、21戦で格下である奈瀬に負けてしまいます。自分でも大満足の一曲だったと語る奈瀬ですが、「あんな碁が打てるから、プロになるのを諦められない」と複雑な心境を語ります。
7敗だった椿は和谷に、6敗だった片桐はヒカルに破れプロへの道が断たれます。対局後、ヒカルに会った椿は年齢制限ギリギリになって挑戦したくなって参加したが、夢が断たれてしまったことを語りますが、ヒカルをバイクに乗せてやる約束を思い出し駅まで送ると言います。
ヒカルを後ろに乗せながら、椿はヒカルに色々と言いますが半分は自分に対しての発言なのか当のヒカルには全く聞こえていません。しかし「プロになるのはお前に任せた」という一言は確かにヒカルにしっかりと伝わり、別れ際に「応援してるぜ」と言い残し別れます。
誰にも見せたことのない対局、「ここで僕が投了」
一方で、アキラは越智に対してかなり厳しいスパルタ指導を行なっています。しかし、アキラがヒカルに執着する理由がどうしてもわからない越智は、アキラに対して強くそれを問い詰めます。
するとアキラは、二年前に碁会所でヒカルと自分が打った対局を見せます。白がアキラで黒の打ち手を明かさないままアキラは石を並べます。越智はどこか黒の打ち方が古いが相当に強いと感心します。そして、それがヒカルなのだと知らされ驚愕します。アキラは「ここで僕が投了」と圧倒的な佐為の力の前に破れた対局を並べます。
越智は、院生になったばかりのヒカルを見たし、研修手合いも打ったがこんなに強いはずがないと驚愕しあり得ないと思います。信じられないと言う越智に対して、だからこそ自分はこの手合いを誰にも見せたことがないのだとアキラは語ります。越智はヒカルが一体何者なのかと苦悩し始めます。
混戦する合格者争い
第22戦、ヒカルは勝利し19勝3敗、和谷は20勝2敗となります。3敗の伊角は4敗の本田の対戦は、本田が会心の一手を打ち込み勝利します。3位が複数いる場合は決戦対局のプレーオフがあるため、本田自身は4敗を守り非常に喜びます。プレーオフもあるため、緊張感がどんどん高まります。そんな中、越智は合格を決めますがヒカルに対して闘志を燃やします。
和谷はネット碁をしながらニセモノのsaiをみつけ、以前ヒカルをsaiの弟子だと思ったことを思い出します。一方のヒカルは1組に上がった時に「お前強くなるかもな、いつかsaiのように」と言われたことを思い出し闘志を燃やします。
みどころ
プロ試験もいよいよ大詰めで、勝ち続ける上位陣に対し他の参加者は次々と合格への道を閉ざされていきます。一人合格を決める越智に対して、2位3位争いは激化しプレーオフの可能性も浮上するなど混戦します。
4位タイや5位タイの各々が次々と不合格になる様子や、不合格になってもなお会心の一局を打つことができ、これだからプロ試験はやめられないのだという奈瀬など、それぞれのドラマが熱くも切なげに描かれます。
アキラの個人指導では、物語の発端でありアキラのヒカルへの執着へのきっかけとなる対局を越智に見せます。当時のヒカル(佐為)である黒の圧倒的な力に越智は衝撃を隠せないところがポイントです。佐為が打った対局ながら、二年前のヒカルが打ったと言われて驚きつつも信じてしまうほどヒカルが成長していることを間接的に描いており、なかなかすごいシナリオであり演出だと思います。
和谷と会話する越智は相変わらず感じが悪いですが、それでもヒカルに対して並々ならぬ関心と恐れを抱いていることがわかります。そして和谷はネット碁関連でヒカルと対局したときのことを思い出し、ヒカルもまた和谷と初めて対局した日のことを思い出し、対決の前夜を迎えるところがなんとも熱いですね。