あらすじ
伊角の勝利、全勝越智の敗北
何かを振り切った伊角に対して、彼の精神的な動揺を予想していた越智は苦戦します。伊角の鮮やかなさばきに対して越智は遅れをとり、精神的に立て直している伊角は自信を取り戻し善戦します。多くの院生ギャラリーが見守る中、伊角は中押し勝ちを納めます。「越智、感謝するよ。立ち直るきっかけになった」と伊角は自分に言い聞かせます。
伊角は例の一局の後、口を聞かなかった和谷とヒカルともお互いの健闘を祈り合い、元どおりの三人組となります。一方の越智はトイレで泣きながら反省会をします。戦績は越智が14勝1敗、伊角が12勝3敗、和谷とヒカルが13勝2敗となり、残り12試合となります。ヒカルは越智と最終戦であたることになり、「俺、今よりもっと強くなってる」と言い放ちます。
ヒカルの成長と越智の焦り
次の試合、越智もヒカルも勝利を納めます。休憩所でヒカルは越智に対して、プロ試験ということもありいつも通りに打つのは大変で手が乱れることもあって、心って難しいとかなり大人びたコメントを残します。それを聞いた越智は、ヒカルの精神面の成長を感じます。
第17局で、ヒカルは院生の実力者である本田に負けます。対戦表を見た越智は自分を安心させる目的もあり、越智は本田にヒカルとの対局について問うと、本田はヒカルに負けたかと思ったが半目差で辛くも勝ったこと、ヒカルの好戦でとても勝った気がしない、という予想外の返答をし越智は不安を感じます。
翌朝、ヒカルは「半目足りない夢」にうなされて目を覚まします。「今日が対局日じゃなくてよかったですね」という佐為に対して「何そ心配してるんだ。今日が対局日でも打てるよ」とヒカルは力強く答え、佐為は彼の大きな成長を感じます。
再開、塔矢アキラの指導
一方の越智は、ヒカルとの対局に不安を感じたのか、越智は一度は首にしたアキラを呼ぶよう祖父に頼みます。「プロ試験が終わるまでの約三週間、精一杯やらせていただきます」というアキラに対して越智は「三週間では何も変わらないと思うけど、おじいちゃんがお前に来てもらえと言うから呼んだのだ」と言います。それに対してアキラは「この三週間だけは先生と呼んでもらう。お前と呼ぶ相手が何をいっても聞く気にならないだろう」と返します。
アキラは「三週間であっという間に上達する訳ではないが、対進藤ヒカルに関しては力になれる」と言い、越智はアキラのヒカルへの執着心をせいぜい利用させてもらうとコメントします。アキラは自分が来れない日には他のプロを呼ばないこと、秀策の棋譜を並べることを指導の条件とします。
この一局を知ってるか？
アキラは手始めに、「君はこの一局を知っているか？」と問い石を並べます。それはアキラがユン先生から聞いた、スヨンとヒカルの対局で、初手から終局までアキラが並べると越智は心底驚き、越智は伊角がヒカルを警戒した理由を悟ります。
これが今のヒカルの実力なら三週間では短すぎると越智はショックを受けますが、「そんなことはない。そのために僕が来た」とアキラは力強く宣言します。
みどころ
伊角が越智に対して勝利を納め、和谷やヒカルと語り合うシーンは結構胸熱です。そして間接的にヒカルの実力を知ることで越智が不安になる様子も非常によく描かれている、かなり面白い回です。
本田との半目負けでの一戦の翌日、気を使う佐為に対して心配しなくても大丈夫だと返すヒカルは本当に成長したなと思わせてくれます。
そしてアキラによる越智の個人指導が本格的に始まります。一度クビにしておきながら、祖父が呼んだのだと言いアキラを雇う越智のプライドの高さや生意気さがかなりうまく描かれています。アキラのそれに対する対応がなかなか凄みが効いていて面白いですね。
そして、ヒカル対スヨンの名対局がここで再び日の目を見ます。伊角が紹介された碁会所、スヨンとの出会い。ユン先生の登場は全てここに繋がると言うなんとも素晴らしいフラグの回収とストーリー展開です。