チャーリーとチョコレート工場

 最近個人的にハマってしまっている映画「チャーリーとチョコレート工場」(2005)について書いてみました。

概説

原作はロアルド・ダールによる児童文学作品「チョコレート工場の秘密」で、映画化は1971年の「夢のチョコレート工場」について二度目となります。2005年の映画ですが、今見ても斬新でよくできた作品だなと感じさせられます。

児童文学作品とはいえ、全編を通して原作由来のジョークやパロディに溢れていて、大人でも楽しめる作品になってます。ティム・バートンとジョニー・デップという黄金コンビの作り出す、セットや音楽まで凝っている今見ても斬新さを感じさせる映画です。

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あらすじ

外界から隔離された巨大なチョコレート工場がある大きな町の片隅で、貧乏な暮らしを余儀なくされている少年チャーリーとその一家。ある日、チョコレート工場の工場主ウィリー・ウォンカが、自社のチョコレートの中にゴールデンチケットを5枚封入して出荷、チケットを引き当てた子供を工場見学に招待すると発表する。

そして、工場見学の日。チケットを引き当てたチャーリーら五人の少年少女と保護者の前で、チョコレート工場の門が開く。チョコレート工場の中に広がっていたのは、ウォンカが作り上げた奇想天外な世界だった。

これは、原作のあらすじですが今回紹介する映画も1971年の映画も基本的なプロットは同じです。しかし、ティム・バートンは原作に加えて親子の関係をテーマにしたウォンカの回想シーンを挿入するなど色々と工夫しています。

ここが面白い

意図的な舞台背景の操作

原作では、チャーリーたちがチョコレート工場に招待される日は1973年の2月1日ですが、ティム・バートンはこの辺りを巧妙にぼかしています。人々のファッションや、出てくる曲や工場の設備などなどが70年代風のものもあれば現代的でモダンなものもあり、おそらく意図的に時代が特定できないように計算されています。

地理的な側面も同様で、チャーリー以外の子供たちの出身地は具体的に示されますが、チャーリーとウォンカのチョコレート工場が具体的にどこにあるのかは明言されません。

一応通貨としては「ドル」が使われていることがわかりますが、なんとなく人々のファッションはイギリスっぽいし、英語もアメリカ英語とイギリス英語が分かれているような印象を受けます。ちなみに、チャーリーはコテコテのイギリス英語を話していて、個人的には何をいっているのかさっぱりわかりません笑。

ただ、字幕版でも十分面白いのでご安心ください。

吹き替えが大当たり

この映画、もちろんジョニー・デップのオリジナルの声で楽しむのも良いのですが藤原啓治さんの吹き替えが本当に素晴らしいです。個人的に映画は字幕で観るタイプなのですが、この映画は数少ない例外です。

2020年に亡くなってしまった藤原啓治さんは、「クレヨンしんちゃん」の野原ひろし、マーベルシリーズのトニー・スタークの声でお馴染みの日本のアニメ・映画界を牽引してきた伝説的な声優です。

そんな藤原さんの演ずる吹き替え版のウィリー・ウォンカは、完璧すぎてもはやジョニー・デップが色あせてしまうほどです。日本語の藤原啓治がオリジナルで英語版が吹き替えだよ、と言われても納得してしまうほどのハマり役でしょう。

挿入歌へのこだわり

これも、吹き替え版の一押しポイントなのですが、劇中で出てくる作品のメイン要素ともいえる「ウンパルンパ」による挿入歌も、日本語版の音響のミキシングがかなりハマっています。

吹き替え版の挿入歌は、サウンドミッションチーム「Amato musica」によって歌われたもので、その素晴らしい仕事ぶりに驚かされます。この団体は、「麒麟がくる」の挿入歌で話題となっている「良い声」をテーマにした書籍でおなじみの堀澤麻衣子さんを中心としたグループです。

まとめ

 公開されたときは一斉を風靡し、地上波に登場した時もかなりの視聴率だったようですが、最近はあまり話題に上がらないもったいない作品です。ジョニー・デップやティム・バートンだけでなく、今やエキセントリックな役でおなじみのヘレナ・ボナム・カーター(本作品では優しいお母さん役)など、この作品の後も活躍しており、埋もれてしまっているのかもしれません。

今見ても斬新で、美術セットや音楽をはじめ世界観も非常に精巧で面白おかしく作られている本作品、見直してみてはいかがでしょう?

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