あらすじ
「余談ですが(切実)、私は子供の頃から将来の夢は誰がなんと言おうと、可愛いお嫁さん。他になりたいものなんて、これといってなかった。」
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ヤスのブラスト参加
電話によって、振り込まれた30万は奈々の花嫁資金だったことが明らかになります。どうやら、奈々の両親は奈々が駆け落ちしたものとみなしており、「頼むからで戻ってこないでね」と奈々は釘を刺されてしまい、母親に感謝の念を抱いた束の間、奈々は複雑な心境になります。
そんな奈々の話をきたナナは爆笑して笑い飛ばします。しかし、ヤスのバンド参加に喜んでナナはベロベロに酔い潰れてしまい、ヤスは慣れた様子で介抱します。そんな二人を見て奈々はヤスと奈々が付き合っていると考え、ヤスがアパートに泊まっていかないので疑問に思います。
恋愛について思いを巡らせる奈々は自分と章司の間も危ないのではと考えたり、結婚について考えたりすることでお金を貯めなければと思い、リクルートスーツに身を包み就職活動をします。
不器用な章司
章司は大学で、淳子に幸子について問い詰められお説教されます。器用に立ち回れないくせに欲を出すから女心を傷つけるんだと淳子は怒ります。二股をかけるほど器用でもなく、勝手に板挟みになっていく章司に、奈々についても心配する淳子は幸子と縁を切るように言います。
淳子は、章司が奈々に疲れて幸子に癒しを求める気持ちはわかるが、奈々があのような疲れる女だと知ってて手をつけたんだから、今更投げずにとことん付き合えと言います。章司は自分は奈々とはかまで一緒の覚悟だと言いますが、淳子はそれをあしらいます。「お前は誰の味方なんだ?」と言う章司に「強いて言えば、正義の味方」と言い残し淳子はその場を立ち去ります。
そんな二人の会合はなんと幸子に立ち聞きされていてようで、幸子を見つけた章司はうろたえます。幸子は偶然立ち聞きしてしまったことを詫びますが、会話の大半を聞かれたと知った章司はかなりあたふたします。
ジャクソンバーガーに逃避しにきた章司はバイトに行ってきっぱり幸子と絶縁しようと思い立ちます。一方の幸子は以前終電を逃したこともあり、スニーカーを持参します。
「だいたい、最初にあった時からなるべく関わらないようにしようと思ってたのに、何をうっかり癒されてるんだ俺は。それこそ大魔王の思う壺じゃねえか。そうは行くか。俺は絶対、奈々を裏切ったりしないぞ。」
章司の裏切り
章司と幸子の帰り道、章司が思い切って話をしようとすると幸子は号泣し、縁を切るなんて言わないでと言い、心動かされた章司と熱く抱擁します。
一方、奈々は仕事が決まったことを章司に報告しようと電話しますが章司には繋がりません。正社員にこだわる奈々は、自分の夢は「庭付き一戸建て」だと語ります。するとナナは「じゃあ私が歌で稼いで建ててやるよ。ただし、てめえの部屋は犬小屋だ」と言い二人は笑い合います。幸子と章司が一夜をともにしているとは知らずに。
「もしもナナが男だったら、一世一代の恋ができるのに。あの頃の私はよくそう思ってた。だけど、そしたらこんな楽しい思い出ばかりには、きっとならなかったよね。恋に痛みはつきものだから。溺れていくほど苦しいものだから。」
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みどころ
奈々の思い描く庭付き一戸建ての夢、時代を感じさせますよね。現在ではこういう夢を抱ける状況の人は当時よりもずっと少ない気もしますね。見通しが人生と社会を舐めすぎてて酷いですが、思い立ったら実行する姿勢は評価できますよね。
淳子と章司の会話も非常に興味深く、「正義の味方」と自称する淳子の発言は的確です。「器用に立ち回れないのに欲を出して中途半端なことをするから乙女心を傷つける」「フォローすればするほど深みにハマる」など、なかなか鋭いコメントが出てきます。そんな会話を幸子が聞いていたことから事態は急展開し、章司と幸子はついに抱き合う関係に発展します。
そんなことは知らずに仕事が決まったことに喜ぶ奈々が切ないですね。そしてモノローグと一緒に描かれるシーンはなんとも言えない感情を見ている方に抱かせます。