ヒカルの碁 第六十局 「さよならヒカル」

あらすじ

すれ違い

ヒカルと佐為は泥棒に入られたというおじいちゃんの蔵に行き、佐為が取り付いていた碁盤が無事かどうかを確かめます。すると、ヒカルにだけ見えていたシミが消えかかっていることに二人は気づきます。ショックを受け、運命に抗うことは無理なのだろうと佐為は思い悩みますが、ヒカルは「こんなもんだったかな」とあっけらかんとしています。

ヒカルのおじいちゃんは寄っていったついでに対局をしようといいヒカルは同意しますが、佐為はじいちゃんとではなく自分といますぐに対局してほしいと言い出します。しかし、「お前と俺こそいつでも打てる。じいちゃんと会った時くらい遊んであげないと」とヒカルは当然のように断ります。

佐為は「自分はもうすぐこの世から消えてしまうんです!」とヒカルに言いますが、「千年もこの世にいて何いってるんだ?最近わがまま度高くないか?」と逆にヒカルに言い返されてしまいます。二人の仲はすれ違い雰囲気が悪いまま翌日になります。

緒方の要求

ヒカルは観光ホテルで泊りがけの仕事で、棋院のゼミナールでプロの講師として働くようです。どうやら緒方もいるようで、ヒカルはsaiについて聞かれると面倒だなと思います。

夜11時過ぎ、ヒカルが囲碁の解説をしていると、酒にベロベロに酔った緒方がヒカルに対して「saiと打たせろ」と絡んできます。佐為はこれだけ酒が入って入れば大丈夫だと言い、対局を受けるようにヒカルに言います。しかしその表情は虚しく冴えない様子です。そんな碁で良いのかとヒカルは問いますが、もう緒方とはこの先打てないだろうと佐為は思い、病院での緒方の真剣な気持ちに答えたいと佐為は語ります。

佐為とヒカル

ヒカルは緒方に自分と打ちましょうと言って部屋に戻って対局することにします。ヒカルは佐為の態度が最近暗く、むすっとしていて良くないなと思い気を悪くします。

一方の佐為は、自分は消えるのにヒカルはこれからも囲碁を打てるということ、未来のあるヒカルに対する嫉妬が抑えられない。そして、ヒカルと別れたくないという思いを募らせます。そして、寅次郎と別れた時のことを思い出し、別れたくないという思いで一杯になります。

最後の対局

部屋に戻ってもまだ飲み続ける緒方は、デビューした時からヒカルを買っていたこと、十段になった喜びと決意を語ります。泥酔している緒方を相手に佐為はこれが自分の最後の対局になるなと悟りながら打ちます。対局はヒカルの勝利に終わりますが、泥酔した緒方はまるでsaiと打っているようだとうわ言を言い始めます。

悟りと消滅

翌日、ヒカルは緒方に会わないよう早々に新幹線で帰ります。佐為は自分の手先から存在が消えていく様子を察知します。帰宅したヒカルは疲れ果てていますが、佐為は一局打ちましょうと言います。眠そうな様子のヒカルを相手に佐為は対局をします。佐為は寅次郎の事を思い出し、寅次郎が私のために存在したというのなら、私はヒカルのために存在したのだ、ヒカルもまた誰かのために存在し、そうして時の流れが積み重なっていくのだと悟り、考えます。

楽しかった

神の一手に続く遠い道のりに思いを馳せ、自分の役目が終わった事を悟った佐為は消滅します。そして、ヒカルに自分の声が届いているのかと確認しながら、最後の言葉を言いながらその存在は無くなります。

一時的に眠気で意識を失っていたヒカルは、佐為が自分の番で石を打つ場所を指定しないため、起きますがその時にはわずかな光を残してすでに佐為が消えた後でした。

みどころ

タイトルから諸々と想像できてしまいますが、泣きますね。涙を流す余裕すら見せない、切なく儚い別れはちょっと他の作品では味わえません。

すれ違う佐為とヒカルの様子は見ている方からすると非常に辛くもどかしいです。佐為の心の奥底にはヒカルと別れたくないという気持ちがあるのに、それが最後まで伝わらないというのが本当に悲しです。

佐為の最後の対局相手は泥酔した緒方ということになりますが、これもなかなか不思議な因果関係だなと考えさせられます。佐為が対局したいと考えていた相手でもありますが、その対局がああいった形で行われるというのも悲しいですね。

シリーズの第一話からのコンビが別れるという時のBGMがピアノソロというのも泣かせます。プロデューサーの技量や演出脚本の総合力の高さに驚きます。消えゆく佐為の声、ヒカルへの問いかけは本当に涙が出ますね。

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